2019/10/01

古着屋になるまで 【part2】

 こんにちはkinjiです。 大阪POP-UPも無事終わって東京に帰ってきました! 

年に何回か地方で開催しているこのPOP-UPイベントについても今度書いてみようかな。 本当に毎回楽しくて地方のお客さまとの繋がりが感じられる大切な時間になっています。 来てくれた皆さんありがとうございました! それと何人かブログも読みましたと声をかけてもらってとても嬉しかったです。 どう思ってどう感じたのか感想や質問などいつでも大歓迎でお待ちしています。 それでは前回の続きですね。 もし【part1】をまだ読んでいない人はこちら からどうぞ。

少し時間をおいて20代の頃の自分をまた思い出して 前回では辛かったけど頑張ったという話ばかりでしたが 実際仕事が楽しくなってたくさん経験を積んで成長できてその面では良かったのですが その頃の自分は思い出しても恥ずかしいほど内面的にはまだ未熟で 自分の仕事の事ばかりで相手の気持ちを思いやるということに欠けている人間でした。 

人の上に立てるタイプの人間じゃなくてすぐ部下に怒ったり感情的に話したり 逆に自分に興味ないことは無関心だったり 簡単に言えば優しくなかったですね。 海外ドラマの「SUITS/スーツ」で言えばルイス・リットくらい怒ってた気がします。笑 気づいたら沢山の人が辞めていってました。 それでも自分が悪いとは思っていなくて根性の無いあいつが悪いんだ!とか思っていました。 慕われる事にも興味が無く、やる事をきっちりこなして結果を出す事しか頭になくて 仕事ばかりでプライベートも無く誰にも弱みも見せず何を考えているか分からないとか言われる事もありました。 まぁ自分で考えても本当嫌な上司だったと思います。 きっと関わった多くの人を傷つけてきただろうし、多分好かれる人間ではありませんでした。 もちろんずっと鬼軍曹のままじゃなく 時を重ねながらだんだんと自分をコントロールできるようになってたし 「THIS IS US」のジャック…とまでとはいきませんが 少しづつ成長して大人になって少しは優しくなったと思います。

 でも心の何処かで過去が恥ずかしくて思い出したくないものでした。 ただ過去は変えられないのでどうする事も出来ません。でも未来は変えていけます。 もうそんな自分になりたくないという強い気持ちと それまでのダメな過去も目を背けずちゃんと受け入れて前に進んでいき 変化していきました。 だからその時の事は褒められたものじゃないけど きっと意味のある経験だったと思っています。 

今は友達も仕事で関わる人達もお客さまも大切に思っているし 皆が幸せに笑っていることが僕も幸せで少しでもそのお手伝いができたら良いなと思っています。 今の自分は完璧じゃないけどそんな自分が好きです。 

こうして心の変化も感じながら、 次はだんだんと別の変化が訪れてきます。

入社してから仕事面でも内面でもこうして色々な経験をして 20代後半から30代の頃に変わってきたのは 周りの変化、 同世代で長年一緒に頑張ってきた同僚達の成長でした。 一人一人個性が出てきて能力も様々で それぞれの評価に差が出てきていました。 新しい事にチャレンジしたり責任ある仕事で成果を出したり 皆やりがいや充実感がある。 (僕には充実感あるように見える) 自分が漠然と置いていかれたような焦りや仕事が上手くいかないイラつき 周りへの嫉妬や自分の能力不足、もっと何か出来るんじゃないか? でも何をしていいか分からない。 そんな苦しい時期でした。

 もちろん毎日真面目に出勤はしていましたが 仕事が嫌いになったわけでもないし、会社のことも好きだし でも何故か情熱的になれない。 バイヤーの仕事は何年もしてきて正直どこか飽きている自分もいる。 管理職的な仕事も向いていない気もしながらやらざるを得ない。 惰性で生きているような感覚でした。 僕は自己啓発やビジネス本も好きだったので沢山読んでいましたが その頃はもう一冊も読む気になれなくなってたし 自分のやりたい事ってなんだったっけ? と全部が分からなくなり でも何か仕事にやり甲斐を見つけられるようにと 周りからのプレッシャーを勝手に感じながら何年ももがいていました。 気持ちが空回りする時期というのはきっと誰にでもあるんだと思います。 

ただ今思うのは何もかも諦めたり投げ出さず自暴自棄になったりもせず なぜこんな気持ちになっているのか?何が原因なのか? 周りではなく自分の中から答えを見つける作業をしていく事が大切なんだという事。 そのヒントは突然現れるかも知れないし、小さなきっかけかも知れません。 まだもがいている時期のある時 その小さなきっかけがありました。 

これまでの何年間、何人もバイヤーは入ってきましたが 色々教えてもすぐ異動になったり、辞めたりの繰り返しで 新しく人が入る事に特別な感情もなくなってきている頃でした。 また一人、 地方の店舗から確かまだ19歳くらいの若いバイヤー志望の女の子が入ってきました。 もちろん最初の頃は買い付けにすぐ行けるわけでもなく 倉庫でひたすら古着の値段をつけたりそれを発送する作業です。 時代は僕の時とはもちろん違ってましたが、最初の誰もが通る地味な道です。 それでその子がたまたま僕がアメリカで仕入れてきた荷物の値段をつける事になって 荷物を開けていたのですが 何これ〜可愛い!これも可愛い! って値段つけるのも忘れて服を見ながら叫んでるんですよね。 可愛い!これ欲しい!とか興奮して素直に楽しんでるのを見て あれ?珍しいなこの子。面白いなって思ってました。 なんか僕もだんだん嬉しくなって、これとかどう?とか新しい別の荷物見せると ぎゃー!可愛い!ぎゃー!可愛い!の連続www 気づくとお互いテンション上がって笑ってましたね。笑 

今聞くと可愛い商品があって可愛いって言うなんて普通の事のようにも思えますが 店舗も多く物量も多かったので流れ作業とまではいかないですが毎日作業量も多く忙しいのもあるし ちょっと極端な言い方ですが一つ一つのアイテムの可愛さやクオリティーよりも 売れ筋商品の数で勝負みないな感じもあって こんな風にダイレクトにしかもお客さまに近い感覚の若い子の意見を聞く環境が無かったんです。 だからとても新鮮でした。 その時何か、ふと 古着のピックが刺激的で楽しかった頃の記憶が蘇ってきて 自分もこんなんだったな昔。みたいな。 見た事ないお洋服を見るたびにワクワクしながらピックしてて かっこいいな、かわいいなっていう素直な感情を表に出していたし もっと純粋に今起こる出来事を楽しんで 仕事をしているという感覚じゃなくただ必死に働いてもっと一生懸命生きてたなって…。 いつからこんなにワクワクする事が減ったんだろう。 その子の純粋な気持ちや素直に楽しんでいる姿に刺激されて 仕事が楽しいという気持ちを少し思い出していました。 

少し自分の中に新鮮な変化を感じながら この後すぐ別のきっかけとなる出来事が起こります。 今思えばその瞬間がPUNK CAKEの始まりのきっかけだったのかも。 それがmikkiとの出会いです。 正確に言えば一緒に買い付けに行ったアメリカでの出来事です。 mikkiとは同じ会社で働いていたのは一番最初に書いたブログでも書きましたが 店頭スタッフとバイヤーなので普段は直接仕事することはなくて たまに原宿の店に出張で行った時に見かけるくらいの感じでした。 ある時会社のイベントがあり賞を取ったmikkiがご褒美として買い付けに行ける事になって それをナビゲートする役がちょうど出張の時期がかぶっていた僕でした。 それまでも何人も海外に連れて行ったりしていたので 僕としてはその中の一人として軽い気持ちで行ったのですが mikkiは買い付けでアメリカに行くのは初めてなのでとても興奮していました。 この時の映像が残っていたので載せておきます。 昔からmikkiを知ってて見た事ある人もいるかもですが 実はこのカメラで撮りながらディレクターのように後ろでボソボソ喋っているのは僕です。笑  

その時仕入れるアイテムは完全にお任せでこちらはノータッチ 仕事だけどご褒美でもあるから自由に選んでいいよって伝えて 僕は横でいつも通りに黙々と仕入れしていたのですが mikkiは楽しそうにこれ可愛い!これも可愛い〜!ってキャッキャしながらピックしてるんです。 

しかもビックリしたのが選ぶアイテムがピエロの衣装みたいなのとかミニーちゃんみたいなドレスとか 当時の僕から見たら絶対選ばない様なぶっ飛んでるアイテムばかり。 いや、まあ可愛いけど、こんなの売れるの? って心の中で思ってながらも、でもなんかすごい楽しそうに選んでるし 今回はお任せでピックしていいよってなってるからまぁいっかって開き直って 時々一緒になってmikkiが好きそうなアイテムをピックしていました。 その時久しぶりに新鮮な気持ちで楽しくてワクワクしている自分がいました。 実際この時のアイテムは今のパンクケイクにあってもおかしくないような物もあったと思います。 出張が終わり日本に帰ってmikkiセレクトとしてピックした商品はお店にすぐ出したのですが これが想像していた以上に大人気であっという間に売れていき在庫がすぐ無くなっていったんです。 それを聞いて僕は、え〜〜〜!あれが売れたの?マジで!?ってかなりの衝撃でした。 

長年バイイングして仕入れにも少なからず自信はありましたが 逆にそれが自分の頭を固くして経験が逆に幅を狭めていたんだと気付きました。 それと同時に自分の中で何かが変わりました。 変わったというか、やりたい事がふつふつと湧き上がって見えてきたんです。 それは、こうして古着やお洋服が好きな子たちが心から喜ぶような 可愛いアイテムばかりをギュッと集めてきてキラキラした可愛いお店を作りたいということ。 自分が本当にやりたい事が見つからずにもがいていた時 突然やってきたこの2人からのきっかけのお陰で 10年以上働いてきて一度も独立しようなんて考えた事もなかったのに この時は今まで悩んでた事が嘘のように消えていって そんな事よりもやりたい事ができてその事ばかり考えるようになりました。

 一度会社の中でそれができるか直接相談しましたが上手くいかず、 何も形にできなくてモヤモヤしたまま働き続けることは出来ないと思ったのでその思いを伝えて結局辞める方向に話は進み 嬉しい事に周りからの反対もなく、むしろ応援してもらえて スムーズに退社する事が出来ました。 辞める前に信頼できる人に一度相談したのですが、 こう言ってくれました。 「上手く行く時は全て上手くいくから大丈夫、逆にダメな時は何をどうやってもダメだ。  人には大きな流れとそのタイミングがあるんだ。  今お前はその良いタイミングで大きな障害もなく進んでいけるから何も心配しないでやればいい。」 いつも厳しくてあまり褒められる事も無かったので この言葉はとても心強かったです。


 思い返せば本当にその通りというか、 仕事の引き継ぎなど終えて6月に退社してすぐに東京へ引っ越して 4ヶ月後の10月、順調に事は進んで今思うとすごい短期間でお店をオープンする事が出来ました。

 もちろん順調だったと言ってもただ何となく準備したのではなく 4ヶ月の間で物件探しにを何件も不動産を回ったり、色々な街へ行って良い物件がないか探し歩いたり お店の品揃えやコンセプト、どんなお客さんに来て欲しいか?どんなプライス帯にするか?などを考えたり 内装も業者を探すところから始めて、打ち合わせに何度も行ったり オープン直前のギリギリに仕入れに行ったりと忙しく動き回っていました。 小さなお店ですが経営する事はもちろん初めての経験なので色々分からない事、初めての事にもぶつかりながら 本を読んで勉強したり、先輩の方に相談したり不安な事もたくさん抱えながら進めていきました。 お店を作るのは大変な事もあるし、とてもエネルギーも使いますが でもとっても楽しかったです!毎日が充実していました! 自分で思い描いたものを0から作り上げていく喜びは初めての感覚でした! だから不安もありましたが期待や楽しさやワクワクする高揚感の方が断然勝っていました。

 もちろん僕一人の力では無理だったし、家族や友達、関わってくれた周りの人達にたくさん助けてもらったお陰です。 本当にありがとうございます。 こうしてPUNK CAKEがオープンする事が出来たのが6年前の今日10月1日でした。 毎年何年たってもこの日は初心に戻れる大切な日です。

10代はチャラチャラと不真面目で、20代は仕事に目覚めて鬼軍曹で、30代は壁にぶつかってもがいて苦しんで そして大きなチャレンジをして今がある。 

もうすぐ僕は40代になりますがこれからもチャレンジする事を恐れず もっと人に優しく温かく、周りも一緒に幸せにしていける人になれるように努力を続けていきます。 このブログが貴方にとっての小さなきっかけとなり チャレンジできる後押しになれば嬉しいです。 自分の人生を振り返って書いていくうちに 最初思ってもいなかったような方向に進んでいった気がしますが、 最後まで読んでいただきありがとうございます。

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